1976年(昭和51年)に登場したスプリンター・リフトバックは、当時の自動車の使い方の変化をよく表したモデルでした。セダンを基本としながらも、大きく開くバックドアを備えたボディによって、新しい使い方を示しています。
後部ハッチを開けた荷室には男女が座り、海辺の時間を過ごしています。車は移動の道具であると同時に、過ごす場所にもなる。「光の中を走るサンデッキ」という言葉は、その広い荷室空間を端的に表していました。
リフトバックという車
スプリンター・リフトバックは、クーペのような流れるルーフラインとハッチバックの実用性を組み合わせた車でした。全長約4.1mのコンパクトな車体に5人乗車の空間を確保しながら、大きな荷室を備えています。
バックドアを開ければ荷物の積み下ろしが容易になり、レジャー用途にも対応できます。セダンとは異なる使い方ができる車として設計されていました。
このボディ形式は、後に登場する多くのスペシャリティカーにも影響を与えています。
排出ガス規制への対応
1970年代半ばの日本では、排出ガス規制への対応が自動車メーカーの大きな課題でした。スプリンター・リフトバックには、トヨタが開発した排出ガス浄化システム「TTC(Toyota Total Clean)」が採用されています。
1600ccの2T-U型エンジンなどを搭載し、厳しい規制を満たしながら日常的な走行性能も維持しました。環境対策と走行性能を両立させる試みが、この時代の車づくりの重要なテーマでした。
車とレジャーの時代
1970年代後半、日本では車を中心としたレジャー文化が広がります。海へ出かけるドライブ、音楽を流しながらの長距離移動など、車は生活の楽しみと結びついていきました。
スプリンター・リフトバックは、そのような使い方を前提に設計されたモデルでした。荷室を開けた状態で海辺に座るというシーンは、車が単なる移動手段ではなく、時間を過ごす場所でもあることを示しています。
この車が提示した「サンデッキ」という発想は、1970年代の自由なカーライフを象徴するものでした。

