1980年代の初め、日本のスポーツカーは大きな転換点を迎えようとしていました。
排出ガス規制を乗り越えたエンジン技術が再び高性能化へ向かい、メーカー各社が新しいスポーツモデルを投入し始めます。
1982年に登場したセリカXX 2000GTは、その流れを象徴する存在でした。広告には「聴こえる、24ビート。」という印象的なコピーが掲げられています。これは視覚ではなくエンジンの鼓動を想像させる表現であり、スポーツカーの魅力を音という感覚で伝えようとする試みでもありました。
誌面には赤いボディのセリカXXが大きく描かれています。背景の広い空と草原の中を走る姿は、静止した写真でありながら速度感を感じさせる構図です。広告の下部にはエンジンの透視図が配置されており、情緒的なコピーと機械構造の説明を同時に見せることで、製品の魅力を立体的に伝えています。
1G-GEUツインカム24バルブ
中心にあるのは、新開発の1G-GEUエンジンです。排気量は2リッターで、直列6気筒のDOHC24バルブという構成を採用しています。当時の国産2リッターエンジンの多くは4気筒でした。その中で直列6気筒を採用したことは、滑らかな回転特性と高級感を重視した設計であることを示しています。
最高出力は160ps(グロス値)。リッター当たり80psという出力密度は、当時としては非常に高い水準でした。トヨタはこのエンジンを「LASRE α-1G」と呼び、燃焼効率と高回転性能を両立させた新世代ユニットとして位置づけています。
広告の文章には「うわついた形容詞や見透いた讃辞は、あきらかに見透かされてしまうだろう」という一節があります。派手な表現よりも、エンジンの性能そのものを見てほしいという姿勢を示した言葉です。技術的な裏付けによってスポーツカーの価値を語るという姿勢が読み取れます。
日本のスポーツカーが変わった時代
セリカXXは、1978年に初代が登場したトヨタのスペシャリティクーペです。2代目となるこのモデルでは、直線を基調としたシャープなボディデザインとリトラクタブルヘッドライトが採用されました。長いノーズと低い車高を持つシルエットは、当時の国産スポーツカーの中でも強い存在感を放っていました。このデザインは後に北米市場で「スープラ」という名称で発展していくことになります。
1980年代は、日本車が世界市場で評価を高めていく時代でした。高性能エンジンと洗練されたデザインを備えたスポーツモデルは、その象徴でもありました。
セリカXX 2000GTは、その流れの中で登場した新しい世代のトヨタ・スポーツです。1G-GEUツインカム24バルブという新しいエンジンと、直線基調のシャープなスタイルを組み合わせ、国産スポーツカーの方向性を示しました。
日本のスポーツカーが再び性能と技術を前面に掲げ始めた時代の空気が伝わります。

