「白いケースは芯強度100」「書き味と強さの基準です。」というコピーを前面に出した、ぺんてるのシャープ芯「ハイポリマー100」の広告です。芯より人物のほうが目を引きます。ロボットアニメに出てきそうなアーマースーツをまとった男性が、無表情のまま小さな芯ケースを手にしています。
背景は淡いブルーグレー。そこに大きな「100」の文字、白いケース、銀色のスーツが重なります。芯の広告なのに、見せ方はほとんど装備品です。折れにくさや書き味を説明する前に、まず「これはただの替え芯ではない」と視覚で押し切ります。ぺんてるがこの製品を、性能を選ぶ道具として売ろうとしていたことがよくわかります。
芯を性能で選ばせる
中心にあるのは「折損強度100(HB)」という言い方です。比較の基準は詳しく書かれていませんが、「100」というきりのよい数字を商品名にそのまま重ねたことで、強さの印象はかなり残りやすくなっています。
1980年代前半は、シャープペンシルが単なる学用品から、使い心地を選ぶ筆記具へと変わっていった時期でした。細い芯でも折れにくいこと、濃く書けること、なめらかに走ること。そうした違いが売り場でも意識されるようになり、替え芯もまた「何でもいい消耗品」ではなくなっていきます。
ぺんてるはこの分野で早くから強い存在でした。1960年にはポリマー系芯を世界で初めて実用化しています。それ以前の芯は黒鉛と粘土を焼き固めたものが主流で、細くなるほど折れやすいという制約がありました。ポリマー樹脂を使うことで細径化と強度を両立させた技術の延長線上に、このハイポリマー100もあります。
文具広告に持ち込まれたメカ感覚
「白と銀のファッショナブルなケース」とうたい、ワンタッチオープンの機構まで見せています。中身の芯だけでなく、ケースそのものを持ち歩く道具として見せています。
そして、あのアーマースーツです。1982年には『機動戦士ガンダム』劇場版、1982年から83年には『超時空要塞マクロス』の放映があり、ロボットやメカの意匠が若い世代を夢中にさせていました。文房具の広告が、強さや先端性を伝えるためにメカっぽい装備を持ち込む発想に無理がなかった時期でした。
実際に売っているのは40本入り200円の芯ケースです。あの重装備の人物が手にしているものとの落差に面白さがあります。机の上の小さな消耗品を、未来の装備の一部のように見せる。単なる替え芯では終わらせたくないというメーカーの気分が誌面に出ています。

