1983年、オリンパスはOM30と「ズイコーズーム35-70mm F4 AF」を組み合わせた新システムを打ち出しました。一眼レフにオートフォーカス機能を導入する過渡期の姿を示しています。
上部には「ズイコーズーム35-70mm F4オートフォーカス新登場」と明記されています。OM30はそれまでマニュアルフォーカス中心で評価を得ていたOMシリーズの流れに位置づけられますが、ここで自動化技術が接続されます。
主役はレンズ側ユニットです。電池ボックス、駆動モーター、AFセンサーを内蔵した構造になっています。ボディ側マウントを大きく変更せず、レンズ側でAF機構を完結させる設計です。完全統合型AFに移行する前段階の解決策といえます。
鏡胴部には「SINGLE AF」「SEQUENCE AF」「POWER FOCUS」といった表記が見えます。現在のAF-SやAF-Cに相当する合焦モードの原型です。当時は合焦方式そのものが新しい機能でした。
OM30は「ゼロインフォーカス」機能を搭載しています。ボディ側の電子接点を介してレンズと連動し、合焦時にシャッターを切る仕組みです。インフォーカストリガーコードによってボディとレンズを接続する構成も採られています。
価格も明示されています。
OM30ボディと50mm F1.8レンズ付きで82,500円。AFズーム35-70mm F4は91,500円です。レンズ単体がボディより高価という構図は、AF機構がいかに技術集約型であったかを示しています。このズームレンズはOM30専用という位置づけながら、OM-1やOM-2など既存のOMシリーズでも使用可能でした。マニュアルフォーカスサポートを前提としつつ、システム全体の継続性を保とうとしています。
「瞬間に向けて加速する」というコピーは、操作の簡略化を示唆しています。ピント合わせの一部を自動化することで、撮影者は構図やタイミングに意識を向けやすくなります。一眼レフの操作体系が変化していく過程の一場面です。
1980年代前半は、各社がAF化に取り組み始めた時期でした。本機は、その移行期を象徴する製品の一つと位置づけられます。

