1960年 オリンパス ペン8EE|EE自動露出を備えた8mmカメラ

1965年のオリンパス ペン 8EEの広告。黒いボディにシルバーのアクセントが効いた8mmカメラを中心に、リモートコントローラーや投影機の紹介も並ぶ。 感性の記憶

広告の中央に置かれているのは、黒いボディの小型シネカメラです。
その下には「かくれたベストセラー」という控えめなコピーが添えられています。

オリンパスは1959年、ハーフサイズカメラ「ペン」を発売しました。
35mmフィルムを半分のサイズで使うことで、撮影枚数を増やし、写真をより手軽なものにした製品です。この「小さく、簡単に」という思想は、やがて映画撮影の分野にも広がります。家庭でも扱える小型シネカメラをつくるという発想です。広告に登場するペン8EEは、その流れの中で登場した8mmカメラでした。

派手なキャッチコピーよりも、製品の信頼性と実績を淡々と伝える構成になっています。黒を基調としたボディに刻まれた「PEN」のロゴは、すでに静止画カメラの分野で確立していたブランドを示していました。

EE自動露出が撮影を簡単にした

ペン8EEの最大の特徴は、名称にも含まれるEE(Electric Eye)機構です。内蔵された露出計が周囲の明るさを測定し、絞りを自動で制御します。それまでの8mm映画撮影では、光量に応じて露出を計算し設定する必要がありました。EE機構によってその操作が不要になり、撮影者はシャッターボタンを押すことに集中できます。

レンズにはズイコー13mm F1.8を採用しています。本体重量は約500gで、当時の8mmカメラとしては非常に軽量でした。さらに電動モーター駆動を採用し、単三乾電池4本で撮影が可能です。フィルム送りを手動で巻き上げる必要がないため、操作はさらに簡単になりました。

家庭映画という新しい娯楽

広告の下部には、関連アクセサリーが並びます。
ズーム用アタッチメントレンズ、リモートコントローラー、そして映写機です。

これはカメラ単体ではなく、撮影から上映までを一つの家庭用システムとして提案していることを意味しています。当時の8mm映画は、家族旅行や子どもの成長を記録するための新しい娯楽でした。ペン8EEは、誰でも扱えるカメラで撮影し、家庭で映写して皆で見るという、家庭映画の文化を支えた機種の一つでした。

後年、家庭用動画はビデオカメラへと移ります。それでも1960年代の8mmカメラは、日本の家庭に「動く記録」という新しい楽しみ方を広げた存在でした。