1976年 日産 ブルーバード|脈打つブルーバード魂「熱血SSS」

1976年 日産ブルーバード 1800SSS-E・S 810型 赤い2ドアハードトップ 名車と美学

鮮烈な赤い2ドアハードトップが紙面を横切ります。直線的なボディラインに、わずかな抑揚を効かせた造形が加わり、当時らしい緊張感をまとっています。

「熱血SSS。」

1976年、昭和51年排出ガス規制の時代に登場した810型ブルーバードです。掲載モデルはシリーズ最強グレードの1800SSS-E・S。エンジンはL18E型直列4気筒で、最高出力115PS/6200rpmを発揮します。電子制御燃料噴射装置E.G.I.を採用し、日産の排出ガス対策システム「NAPS」によって規制をクリアしています。

この時代、出力を維持しながらクリーン性能を両立させることは容易ではありませんでした。パワーを抑える選択肢もある中で、ブルーバードは走りのグレード「SSS」を残しました。

広告下段には装備が細かく記されています。4輪独立懸架サスペンション、4輪ディスクブレーキ、黒で統一されたインテリア。規制対応車であっても、運動性能を後退させないという姿勢が読み取れます。

810型は、名車510型と大ヒットする910型の間に位置する世代です。そのため影が薄いと語られることもあります。しかし現在では残存個体が少なく、評価は静かに変わりつつあります。

特にL型エンジンを搭載した世代として、整備やレストアの情報は今も共有されています。排ガス装置をどう維持するか、当時のフィーリングをどう残すか。その試行錯誤も含めて、この世代の魅力になっています。

「ますます円熟のSSS。」

規制の時代にあっても外されなかった名前。そこにブルーバードの立ち位置が見えます。円熟という言葉の裏には、簡単には折れない意地が感じられます。

1970年代半ば、排出ガス規制の制約のなかで、何を優先するのかという問いは各社に突きつけられました。ブルーバードが「SSS」という名を残した判断も、その時代の設計思想のひとつといえます。こうした1960–70年代の国産車の思想転換については、昭和の国産車 設計思想アーカイブでも整理しています。