赤い掃除機の内部が大きく開かれ、その中心に青いフィルターが配置されています。
コピーは「まわるまわる青いチリプル。」
1970年代半ば、家庭用掃除機の技術競争は単なる吸引力だけでなく、吸込力をいかに維持するかという課題へと移り始めていました。1975年に登場したナショナル掃除機MC-8810Cは、その解決策を内部構造そのものを見せる形で提示しています。
吸込力を保つフィルター構造
中心に描かれている「青いチリプル」は、フィルター部分の改良を象徴する装置です。
従来の布袋式フィルターでは、細かいホコリが詰まることで空気の流れが妨げられ、吸込力が低下しやすいという問題がありました。チリプルは新素材のフィルターを長く折りたたむことで、従来より大きな表面積を確保し、空気の通り道を広く保つ仕組みになっています。
約240センチの素材をヒダ状に折り込むことで、表面積が従来の約2.5倍になると説明されています。これにより、ホコリが付着しても吸引力が落ちにくくなる設計でした。
家庭用掃除機の性能競争
MC-8810Cは、吸引力の強化だけでなく静音性や電力効率にも配慮されたモデルでした。広告では520Wの吸込仕事率と、約52.5ホンという比較的静かな運転音が紹介されています。
1970年代の家電製品は、すでにほとんどの家庭に普及していました。各メーカーは基本機能の改良や省電力化、使いやすさの改善などで差別化を図るようになります。
第一次オイルショックを経験した社会では、省電力や効率の向上も重要なテーマでした。この掃除機も、性能を高めながら消費電力を抑える設計が意識されています。
家電に求められた信頼性
ビジュアルは、掃除機の内部構造を大胆に見せる構成になっています。赤い外装の中にある青いフィルターやモーターをあえて強調することで、機械としての仕組みを理解できるようにしています。これは、当時の松下電器が掲げていた「技術のナショナル」というブランドイメージをよく表しています。
家事を支える家電製品に求められていたのは、単なる便利さだけではなく、長く安心して使える信頼性でした。この広告は、家庭用電化製品が成熟期に入りつつあった1970年代の設計思想をよく示しています。

