白いギャランが、古びた建物の前に静かに停まっています。派手さはありません。ただ、低く構えたシルエットと面の張りが、周囲の空気を少し変えています。1988年の三菱自動車がこの広告で訴えているのは、数値で切り取りにくい「質感」そのものです。
コピーもかなり踏み込んでいます。
「フォルムに、美しい密度がある。」
「走りに、美しい密度がある。」
見た目の華やかさではなく、触れると押し返してくるような存在感、光を含んで深い表情を見せる面の処理、そして走る・曲がる・止まるという基本性能の熟成までを、ひとつの言葉にまとめています。ここでの「密度」は、豪華装備の量ではなく、作り込みの濃さを指しています。
「人間の触感」を基準にした4ドア
「基準は人間の触感です。」という言葉は、なかなか強いです。まず触感を基準に置き、人がどう感じるかを持ってきています。
その背景には技術があります。アクティブ・フォーやアクティブECSといった言葉も添えられていて、この世代のギャランが新技術を背負った車だったことはわかります。技術が行き届いた結果としての質感を見せようとしています。
この時期の三菱は、新技術をただ並べるのではなく、車全体の仕上がりとして見せようとしていました。ギャランも、スペックで押すより、見たときの端正さや触れたときの質の良さで印象づける一台でした。

