1971年 マツダ カペラ ロータリークーペ|カペラは風

1971年のマツダ・カペラ広告。草原を背景に「カペラは風」のコピーと赤いクーペ。 名車と美学

一面の緑の草原を背景に、赤いクーペが宙に浮かぶように配置されています。
1970年に登場したマツダ・カペラの魅力を伝える広告です。

中央には大きく「カペラは風」というコピーが置かれています。上部には「ロータリーは自由奔放な風のフィーリング」という説明が続き、ロータリーエンジンの滑らかな回転感覚を強く印象づける構成になっています。性能数値ではなく、走行感覚を言葉で伝えています。

高速道路時代の到来

1970年代初頭、日本のモータリゼーションは新しい段階に入りました。1969年には東名高速道路が全線開通し、自動車には長距離を安定して走る性能が求められるようになります。

経済成長とともに人々の生活も変化し、週末のロングドライブや旅行といったレジャーが広がり始めました。車は単なる移動手段ではなく、生活の自由度を広げる道具としての意味を持ち始めます。描かれた広い草原や、遠くを歩く白いワンピースの女性の姿は、そうした新しい時代の空気を象徴する背景でした。

12A型ロータリーエンジン

このカペラの最大の特徴は、ロータリーエンジンの搭載です。紙面のモデルには、573ccのローターを2基備えた「12A型」ロータリーエンジンが採用されていました。最高出力は120ps(グロス値)に達し、当時の2000ccクラスのレシプロエンジンに匹敵する性能を持ちます。

ロータリーエンジンは、三角形のローターが回転する独特の構造を持っています。往復運動を行うピストンエンジンと異なり、高回転まで滑らかに回ることが特徴でした。この感覚を「風のフィーリング」という言葉で表現しています。

部品点数が少なく軽量であることも特徴で、車両全体の運動性能向上にもつながっていました。マツダはこの独自技術を前面に押し出し、他社とは異なるスポーティな車づくりを進めていました。

ロータリー車という新しい選択

本文には、すでに12万人がロータリーの魅力に惹かれているという記述もあります。また、カペラのほかにも1500ccや1600ccのレシプロモデルが用意されていたことが紹介されています。

当時のカペラロータリーシリーズの価格は、およそ70万円前後から設定されていました。一般的な乗用車よりやや高価でしたが、独自のエンジン技術とスポーティなスタイルは、多くのドライバーにとって魅力的な選択肢でした。

ロータリーエンジンという新しい技術を軸に、軽快な走りと自由な移動の感覚を提示しようとしていた1970年代初頭のマツダの姿勢がよく伝わってきます。

マツダ・カペラがロータリーエンジンの加速を「風」で語ったように、1970年代後半の多くの国産車は数値を越えた価値表現へと舵を切っていました。性能回帰の潮流とそれを支えた設計思想の転換については、昭和の国産車 設計思想アーカイブ(1960–70年代)でも整理しています。