1978年 ライオン マウスペット|携帯スプレー型口臭対策の登場

1970年代 ライオン マウスペット ミントライム 口臭スプレー広告 美と健康

1978年に登場した、ライオン歯磨(現ライオン)の「マウスペット」です。「お口のオアシス」というコピーを掲げ、携帯用エチケットスプレーという新しいカテゴリーの定着を図っています。

画面中央には、水晶玉の中に製品が映し出される構図が採用されています。背景は黄色い花が咲く庭園です。直接的に製品を大きく見せるのではなく、光の屈折や透明感を通して清潔さを印象づける設計です。衛生用品でありながら、視覚的には自然や爽やかさと結びつけています。

下部には「お口のニオイを消すエチケット・スプレー」と明記されています。ここで重要なのは「エチケット」という言葉です。1970年代後半は外食や職場での対人接触が増え、身だしなみの一部として口臭対策が意識され始めた時期でした。口臭ケアを医療ではなくマナーとして提示しています。

ラインナップは3種類です。
クールな味の「デラックス」、甘さを意識した「パッションフルーツ」、さわやかな「ミントライム」。機能だけでなく香りや味を選べる構成にすることで、日用品から嗜好品へと位置づけを広げています。

左下のイラストでは、外出先で「シュッ」と使う様子が描かれています。歯磨きの代替ではなく、短時間で口内をリフレッシュする用途を明確に示しています。携帯性と即時性が前提の設計です。

ライオンはそれ以前から「エチケット」ブランドを展開しており、本製品はその延長線上にあります。ただし本紙面のトーンは、若年層や女性層を意識した軽やかな演出に寄っています。衛生用品を堅い商品ではなく、日常のアクセサリーに近づける試みが見て取れます。

「エチケット・スプレー」という名称には、口臭ケアがまだ新しい作法であった時代の空気が残っています。現在ではマウスウォッシュやタブレット菓子など多様な選択肢がありますが、その携帯型という発想の定着期を示す一例です。