1976年 キヤノン NP A2|250万円のA2普通紙複写機

キヤノン NP-A2 1976年 雑誌広告|大型普通紙複写機の外観と価格2,500,000円の表記 技術の足跡

大型の建築図面や設計図を、そのままのサイズで複写する巨大な筐体。
1976年のこの広告は、青焼き(感光複写)に依存していた図面管理から、普通紙複写(PPC)への移行を促す構成です。オフィスオートメーション(OA)化が本格化する直前の局面でした。

「1枚の図面なら、1枚でコピーしたいですね。」

掲載モデル「Canon NP A2」は液乾式普通紙複写機。A2判図面をそのまま普通紙に複写できます。現金価格は2,500,000円。

1976年当時の大卒初任給は約94,000円。本体価格は月給の約26か月分に相当します。現在価値に換算すれば、およそ1,500万〜2,000万円規模の設備投資です。個人向け製品ではなく、設計事務所や建設会社など法人用途を前提とした機器でした。

当時、大型図面の複写は青焼きが主流でした。青地に白線という視認性の制約や、臭気、経年劣化といった課題を抱えていました。NP A2はA2サイズを普通紙へ直接出力することで、保管性と視認性を大きく改善します。

広告内スペック:

  • 複写速度:分速10枚(A2サイズ)
  • A2〜A3切換えボタン操作
  • ブックコピー対応
  • 液乾式方式
  • 5年間または100万枚までの保証(T・G方式)

保証条件を明示している点からも、耐久設備としての位置づけが読み取れます。

1970年代、日本では都市開発とインフラ整備が進み、設計図面の大量処理需要が拡大していました。複写機は補助的事務機器から、生産性を左右する基幹設備へと変化します。リコーや富士ゼロックスなどとの競争の中で、普通紙化と大型化は重要な差別化要素でした。

この広告が示しているのは、青焼きからPPCへという業務プロセスの転換点です。250万円という価格は、企業が時間効率と情報精度に対して支払った対価でした。