鮮やかな赤い背景に、S字を描くように7種類のホイールが配置されています。メッシュ、フィン、スポーク、ディッシュ。型番は FIN-1、MESH-1、DISH-2、PROTO-1 など明確に区分され、選択肢として整理されています。
「その日、クルマは突然美しくなった。」
1977年のこの広告は、アルミホイールの意味が変わった時期を伝えています。かつては軽量化や競技用途が主な目的でしたが、1970年代後半には“外観を変えるためのパーツ”として一般層に広がっていきました。
掲載されているのはブリヂストンの「ZONA」シリーズです。
右下にはラリー専用モデル「MOMBASA」の新発売告知もあります。競技の世界観を借りながら、日常のクルマにも手が届く選択肢として提示している構成です。
当時、日本の自動車保有台数は増加を続けていました。排ガス規制を経て出力競争が落ち着くと、ユーザーの関心は別の方向へ向かいます。速さよりも、見た目の変化。ホイールは比較的手軽に印象を変えられる部分でした。
この広告が示しているのは二つの流れです。
一つはデザインの多様化による「選ぶ楽しさ」の提示。
もう一つは、タイヤメーカーがホイールまで展開する市場拡張です。
並べられた7種類のデザインは、性能差よりも意匠差を前面に出しています。
どれを選ぶかで、クルマの印象が変わる。その感覚を直感的に伝えています。
現在、当時のZONAシリーズは中古市場で流通量が減少しています。状態の良い個体は少なくなり、旧車市場と連動して価格が形成されています。単なる消耗品ではなく、当時仕様を再現するための構成要素になっています。
ホイール交換は今もドレスアップの入口です。インチアップや鍛造といった技術的要素は進化しましたが、足元を変えることで車全体の印象が変わるという基本構造は変わっていません。
1977年のこの広告は、誰もがクルマの足元に目を向け始めた時期を記録しています。
ホイールを替えるだけで、クルマが違って見える。そう感じた人が増えた時代だったように見えます。

