1971年 トヨタ セリカ|「恋はセリカで」

1971年のトヨタ セリカ(TA22型)雑誌広告。外国人女性モデルのアップ写真と赤いセリカのクーペ、「恋はセリカで」「ロマンの世界を走りませんか。セリカはごきげんなスペシャルティカー。」のコピー。進歩のマーク・TOYOTA。 名車と美学

濡れた髪の女性の顔を大きく使い、その下に赤いセリカを置いています。「ロマンの世界を走りませんか。」、「恋はセリカで。」というコピーを添え、セリカを新しいスペシャルティカーとして印象づけようとしています。

スペシャルティカー

初代セリカは1970年12月1日に発売され、トヨタは「日本初のスペシャルティカー」として位置づけています。同時代のセリカの別広告ではフルチョイス・システムを軸に、選ぶ愉しみの原点として読めましたが、ここではその前段階、つまりそもそもスペシャルティカーとは何かを浸透させようとしています。わざわざ「セダンから生まれたハードトップやクーペとちがって」と書くのも、その新しさを説明する必要があったからでしょう。

アメリカではマスタング以後、実用車の土台を使いながら、見た目と個性で若い層を引きつける“スペシャルティカー”の考え方が広がっていました。初代セリカはそれを日本市場向けにうまく翻訳した一台です。まずスタイルに惹かれて選ぶ車として提示した点に、この車の強さがありました。トヨタの英語版の系譜でも、初代セリカは既存セダンプラットフォームを活かした手頃でスポーティな“specialty car”として説明されています。

車を憧れで売る

「恋はセリカで。」というコピーは有名ですが、それが全体の設計ときれいにつながっています。濡れた髪、赤いボディ、直線道路、そして“ロマンの世界”を描き、1970年代初頭の若い購買層が車に求めていたものを、かなり正直に出しています。セリカが売っていた憧れのかたちが伝わります。初代セリカが長く記憶に残った理由は、スペックだけではなく、こうしたイメージの強さにもありました。