「オドロカスヨ・目ガサメルダロ!」
目ざまし時計の売り方としてかなり異様です。針が四方に突き刺さった人物の頭に爆弾型の時計が乗り、口を大きく開けた驚いた顔が紙面を占めています。時計の正確さや見やすさではなく、まず見た瞬間の驚きから入る。1984年、服部セイコーはそんなやり方で目ざまし時計を売ろうとしていました。
本文もかなり率直です。
「ヘンな形でスゴい音。おまけに一見して時刻表示もない(実は、ちゃんとついてます)」
遊び心のカッコ書きも付いて、時計としての基本機能を、どこか後回しにしている感じがあります。実用品であることはもちろん捨てていませんが、前に出ているのは、まず形と音のインパクトです。1984年、目ざまし時計は変身し、過激なまでの遊びゴコロに目ざめた。そう書き切っているところに、この商品の立ち位置が出ています。
3モデル同時発売という仕掛け
誌面に載るのは、爆弾、宇宙船、ラッパを思わせる3モデルです。単発の変わり種ではなく、最初からシリーズとして展開していたところに、この商品の狙いが出ています。
音についてほとんど説明していません。「音は買ってのお楽しみ」とあります。目ざまし時計でありながら、時計を選ぶというより、何が鳴るのかも含めて面白がる商品でした。
時計が雑貨へ近づいた時代
広告には、「これなら、自分で使っても楽しいし、プレゼントするのもオモシロい」とあります。目ざまし時計を、単なる実用品ではなく、部屋に置いて楽しめる小物やギフトとして売ろうとしていたわけです。
1984年は、デジタル時計の普及がひと段落し、時計メーカーが機能以外の価値を探り始めた時期でした。1983年にはスウォッチがカラフルなプラスチックウォッチで世界市場に登場しており、時計が雑貨的な魅力を帯び始めた流れとも重なります。セイコーの「どきどき」シリーズも、そうした空気の中で生まれたのでしょう。実用品として成熟した時計市場の先で、雑貨やギフトとしての需要を取り込もうとする意図が見えます。
しかもこの広告が出たのは、社名を「服部セイコー」に改めた翌年です。創業家の名を残しつつ、ブランドとしてはすでに「セイコー」が前に出ていた時期でもありました。そんな老舗の時計会社が、こうした遊びの強い商品を出していたところに、1980年代らしい軽やかさがあります。

