見開き2ページを、2つのブランドが半分ずつ使っています。左は現在のコニカにつながる小西六、右はソニー。どちらも赤いボディの製品を女性の手が持ち、コピーは左の「撮ったら、」と右の「と録りかえす。」がつながって、ひとつの文になります。異なるメーカーの広告が誌面上でワンフレーズを完成させる。かなり手の込んだ見開きです。
左ページは、コニカの「ピッカリコニカ カラーハンディ」です。価格は¥32,800。5色展開と軽快さを前に出し、カメラを持ち歩く楽しさのある道具として見せています。
右ページは、ソニーの「熱録2B」。価格は¥13,000で、こちらも5色展開です。録音機を実用品としてではなく、毎日持ち歩ける小さな相棒のように見せているのが分かります。
2社で1つのコピーをつくる
撮るカメラと録るレコーダーという別カテゴリの製品を、無理なくひとつの行為にまとめています。いまなら一台のスマートフォンで済む話ですが、1981年にはまだ別々の機械でした。その二つを「撮ったら、録りかえす。」という一文でつないでしまう。商品説明というより、記録の仕方そのものを提案しています。
しかも、その接着剤になっているのが性能ではなく色です。どちらも5色展開を前面に出し、見開きでは赤を選んで揃えている。女性の手元や爪の色まで含めて、機械というよりアクセサリーや小物のように見せています。カメラもレコーダーも、もはや据え置きの道具ではなく、服やバッグと一緒に持ち歩くものになり始めていました。
色とライフスタイルで売る時代
1980年前後になると、家電広告はスペックだけでは押し切れなくなっていきます。軽さ、小ささ、色、持ち歩きやすさ。ピッカリコニカと熱録2Bが並ぶこの見開きにも、記録機器が「使うもの」から「連れて歩くもの」へ変わっていく空気がよく出ています。写真も音も、構えて残すものではなく、毎日の中で気軽に楽しむものになり始めていました。
合作広告としての珍しさ
2社で見開きを共有する形式には、媒体費の分担といった実務的な理由もあったはずです。「撮ったら、録りかえす。」というコピーを成立させるために、カメラとレコーダーを同じページに並べ、同じ赤で、同じテンポで見せている。かなり意識して組まれた合作広告です。
写真と音声がまだ別々の機械だった頃に、その二つを一緒に持ち歩くこと自体を売っている。そこにこの見開きの新しさを感じます。

