1982年 第一製薬 パテックス・ハイ|千代の富士の腕に貼られた湿布薬

1982年 第一製薬 パテックス-ハイ 雑誌広告。千代の富士が右腕にパップ剤を貼り、直筆サイン入り。「いま、売りだしてます。」のコピーと製品箱、5つの特長が記載。 美と健康

右腕に白いパップ剤を貼った千代の富士が、正面をまっすぐ見ています。のちの大横綱の腕には大きく直筆サインが入っています。その下に縦書きで置かれたコピーが「いま、売りだしてます。」とあります。湿布薬の広告としてはかなり思い切った作りですが、見た瞬間に覚えてしまう強さです。湿布薬「パテックス・ハイ」の貼り心地や成分に関する説明も並びますが、まず伝わってくるのは、千代の富士の身体と、新発売の勢いです。

千代の富士を使う意味

「新発売の商品を売り出す」という意味と、当時まさに売り出し中だった千代の富士の勢いが自然に重なります。1982年の千代の富士は、強さと知名度の両方を備えた存在でした。筋肉質で引き締まった体格は、それだけで説得力があります。その腕に湿布が貼られているだけで、効きそうだと思わせる力があります。

力士を医薬品広告に使うこと自体は不思議ではありません。打撲、ねんざ、筋肉痛といった訴求は、身体への負荷が大きい競技と相性抜群です。ただ、千代の富士の場合は単に「強い力士」で終わらない。鍛えた身体そのものが、商品の信頼性として機能していました。

効能より先に印象で売る

「効きます」でも「よく貼れます」でもなく、「いま、売りだしてます。」というコピーです。薬の広告でありながら、効能そのものよりも、新商品が市場に出てきた勢いでそのまま売ろうとした感じがあります。

1980年代に入ると、外用の消炎鎮痛薬もただの家庭常備薬ではなく、ブランドで選ぶ商品になっていきます。この広告も、細かな仕様は押さえつつ、表では千代の富士とコピーで一気に持っていく。湿布薬の広告なのに、最初に残るのは効能名ではなく、横綱の顔と腕です。その豪快さごと、この時代の売り方だったのだと思います。