1963年 ミノルタ レポ|「若さをレポしよう!」と呼びかけたハーフ判カメラ

1963年掲載のミノルタ レポ新発売広告。草原に寝転ぶ若い男女の白黒写真と、カメラ本体・スペック・価格が記載された昭和雑誌広告 感性の記憶

1963年(昭和38年)、ミノルタカメラ株式会社が雑誌に掲載した広告は「若さをレポしよう!」という一行から始まります。草原に寝転ぶ若い男女。女性の手には小さなカメラがあります。互いに顔を見合わせるその構図は、当時の若者雑誌に通じる軽やかな空気をそのまま写したものです。

商品名の「レポ」はレポート、つまり記録するという意味から取られた名称です。写真を特別な趣味ではなく、日常の出来事を残すための道具として使う感覚を打ち出したネーミングでした。

広告には価格がはっきりと書かれています。

カメラ ¥9,800、ケース ¥1,000

1963年の大卒初任給はおよそ16,000〜17,000円前後です。レポは給料の6割ほどにあたる買い物でした。決して安価ではありませんが、一眼レフが数万円した時代を考えると、一般ユーザーが現実的に手を伸ばせる価格帯に収まっています。

フィルムを「倍」使えるハーフ判カメラ

ミノルタ レポはハーフ判カメラです。ハーフ判とは、135フィルム(35mmフィルム)の1コマを縦に半分使う方式で、36枚撮りフィルムから72枚撮影できます。フィルム代と現像代が家庭の出費に直結していた時代、この特徴は実用的でした。

同じ市場ではオリンパスのペンシリーズやキヤノンのデミが人気を集めており、1960年代初頭にはハーフ判カメラが若者向けの軽量カメラとして広く普及していきます。レポもその流れの中で登場した一台です。

ロッコールレンズと扱いやすい露出機構

レンズはミノルタの自社ブランドであるロッコール F2.8/30mm。ハーフ判の画面サイズ(18×24mm)では標準に近い画角になり、旅行や日常のスナップ撮影を意識した構成です。

露出操作は針を合わせる方式で、シャッターと絞りが連動する仕組みになっています。広告にはLV8〜16という数値も記されています。曇天の屋外から晴天の屋外までを想定した範囲で、専門知識がなくても使えることを重視した設計でした。

本文には運動会、ハイキング、スポーツといった場面が並びます。ここで強調されているのは性能より携帯性です。軽くて小さいカメラをどこへでも持って行くという使い方が前提になっています。

ミノルタはこの前年、1962年に「ミノルタSR-7」で世界初の内蔵露出計一眼レフを発売し、技術力では国際的な評価を得ていました。その一方で、レポのようなシンプルなコンパクト機も展開していたことから、同社がマニア向けと一般ユーザー向けの両方を意識して製品を作っていたことが分かります。

現在、ミノルタ レポは中古のフィルムカメラとして国内外で流通しています。ハーフ判カメラの再評価もあり、実写目的で探されることもあります。ロッコールレンズの描写を試したいという理由でコレクションに加える人も少なくありません。1963年に登場したこの小型カメラは、半世紀以上を経てもなお撮影に使われ続けています。