舗装道路がまだ多くなかった時代、クルマを走らせることは今よりもずっと大きな出来事でした。
タイヤには過酷な路面に耐える強さが求められ、同時に車の外観を引き立てる存在でもありました。
中心に置かれているのは、白い帯が入ったホワイトリボンタイヤです。当時の乗用車では、タイヤのデザインも車の印象を左右する要素でした。青い背景の上には、トヨペット・クラウンやダットサン・ブルーバードなどの車が描かれています。当時の代表的な乗用車を並べることで、このタイヤが高級車や人気車種に対応する製品であることを示しています。
実用部品であるタイヤを、車のスタイルを完成させる要素として見せる構図になっています。
「2倍の安定性能」という技術
「日本ではじめて 2倍の安定性能」という言葉が掲げられています。
1960(昭和35)年に東洋ゴム工業(現在のTOYO TIRE)が発表した「ダブル・トレッド タイヤ」です。
当時のタイヤは現在主流となっているラジアルタイヤではなく、バイアスタイヤが一般的でした。
構造上、摩耗や操縦安定性の面で改良の余地がありました。
ダブル・トレッドという名称は、接地面の構造を強化した設計を意味しています。トレッドパターンやゴム構造を工夫し、接地面の安定性を高めることで直進性や耐久性の向上を狙いました。
広告に登場するクラウン、ブルーバード、ヒルマン、オースチンといった車種は、当時の日本の乗用車市場を代表する顔ぶれです。それぞれの車に対応できる性能を備えたタイヤとして、この製品が紹介されています。昭和30年代の自動車は、まだ道路環境の影響を強く受けていました。
その足元を支えていたのが、こうした改良を重ねたタイヤでした。
日本のモータリゼーションが広がり始めた時代に、タイヤメーカーがどのように性能と信頼を伝えようとしていたのかをよく示しています。

