1983年 大塚製薬 オロナミンC|なぜか手が出る栄養ドリンク

1983年発行のオロナミンCの雑誌広告。赤いスバルR2に乗る男性の劇画風イラストと、交通違反を指摘するユニークなコピー。 至福のひととき

赤い車内で汗をかく男性。その視線の先に置かれているのが、オロナミンCです。

広告のコピーは「なぜか手が出る。」

理由や効能を詳しく説明するのではなく、思わず手に取ってしまう習慣をそのまま言葉にした表現です。

劇画調イラストという広告表現

まず目を引くのは、漫画のような劇画調のイラストです。
1980年代の広告には、写実的な写真だけでなく、ポップアートやコミック表現を取り入れたものが多く見られました。商品を説明するというより、広告そのものを一つのビジュアル作品として印象づけるためです。

汗を流す人物の表情や誇張された輪郭線は、疲労感をコミカルに表現しています。深刻な疲れではなく、日常の中で誰もが感じるちょっとした疲れ。その軽さが、この広告の空気を決めています。

「元気」の飲み物という位置づけ

オロナミンCは1965年に発売された炭酸入り栄養ドリンクです。

ビタミンCを中心とした成分構成と飲みやすい味で、栄養ドリンクと清涼飲料の中間のような存在として広まりました。テレビCMでは巨人軍の王貞治選手が出演し、「元気ハツラツ」というフレーズとともに全国的に知られるブランドになります。

1980年代に入ると、日本では栄養ドリンク市場がすでに成熟していました。リポビタンDやユンケルなど強い効能を訴える製品も多い中で、オロナミンCは「日常の元気」という立ち位置を保ち続けます。

理屈より習慣

コピーにある「なぜか」という言葉は、その位置づけをよく表しています。
成分や効能を細かく説明するのではなく、気づけば手に取ってしまう飲み物。つまり、理屈ではなく習慣として飲まれる存在です。

栄養ドリンクが特別な薬ではなく、日常の飲み物として定着していく時代。オロナミンCの広告は、その空気を軽やかなユーモアで表現していました。