宇宙の彼方に輝く銀河。その中央に配置されたのは、巨大な「TURBO」の文字とむき出しのエンジンです。
1982年、トヨタはフォークリフトの広告に「ターボ」という言葉を大きく掲げました。スポーツカーの世界で知られていた過給技術を、産業車両の分野に前面から持ち込んだことが分かります。物流という極めて現実的な現場を扱う製品でありながら、宇宙を思わせるビジュアルが使われている点も印象的です。当時の技術への期待の大きさを象徴しているようにも見えます。
低燃費で選ぶならターボ
「低燃費で選ぶならターボです。」というコピーは、ビジュアルの派手さとは対照的に、内容は非常に実務的です。
紙面では、ガソリン車と比較して年間約25万円の燃料費削減が可能であると具体的な数字を提示しています。1980年代初頭は、オイルショックを経て省エネルギーが企業経営の重要課題になっていた時期でした。燃費改善はそのままコスト削減につながるため、物流現場にとっても重要な判断材料でした。
2トン系フォークリフトのターボ化
搭載されたのは、1,487ccのターボディーゼルエンジンです。
最大トルク10kg-mを2,200rpmという低回転域で発生する設計となっており、頻繁な発進と停止を繰り返すフォークリフトの作業特性に合わせたセッティングでした。
このモデルは、2トン系小型特殊ディーゼル車として初めてターボを採用した機種でもあります。トヨタのフォークリフトは1981年に累計生産30万台を突破しており、物流機械としての需要が急速に拡大していた時期でした。ターボ化は、フォークリフトの高出力化と燃費改善を同時に進める技術的な回答でもありました。
物流機械にも広がるターボ技術
1980年代に入ると、ターボチャージャーは乗用車だけでなく、トラックや産業車両にも広がっていきます。低回転から大きなトルクを発生できる特性は、重量物を扱う作業車にとっても大きなメリットでした。
この一枚からは、物流機械の世界でも技術革新が進んでいた時代の空気が伝わってきます。

