1982年 三菱 パジェロ|快走のRVヒーロー

1982年 三菱パジェロのデビュー広告。岩場を走る黒のメタルトップと「快走のRVヒーロー」の赤いコピー。 名車と美学

荒々しい岩壁を背に、砂塵を上げてこちらへ向かう四輪駆動車。
1982年、三菱自動車が発売したパジェロの登場を伝える一枚です。

それまでの四輪駆動車は、ジープ型に代表される実用車の色合いが強い存在でした。しかしこの頃から、アウトドアやレジャー用途を意識した「RV(レクリエーショナル・ビークル)」という新しいカテゴリーが注目され始めます。パジェロは、その流れを象徴するモデルでした。

キャッチコピーは「快走のRVヒーロー」。
従来の四輪駆動車の無骨なイメージとは異なり、力強さと同時に軽快さを強調しているのが特徴です。街から荒野まで走ることができる新しい乗り物として、四輪駆動車の役割を広げようとする意図が読み取れます。

RVブームの始まり

1980年代に入ると、日本ではアウトドアレジャーが広がり始めます。キャンプやスキー、長距離ドライブといった週末のレジャーが定着し、それに適した車として四輪駆動車が注目されるようになりました。

パジェロはそうした流れの中で登場したモデルであり、後に続くRVブームの象徴的存在となります。舗装路だけでなく岩場や砂地といったオフロードを走る姿は、従来の乗用車とは異なる自由な移動手段を象徴していました。

日本初のディーゼルターボ搭載

初代パジェロの大きな特徴は、ディーゼルターボエンジンの採用でした。
搭載されたのは2.3リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンで、最高出力95ps、最大トルク18.5kg-mを発生します。

当時の四輪駆動車は低速トルクを重視する設計が主流でしたが、ターボの採用によって高速巡航性能も向上しました。長距離移動や高速道路での走行を想定した設計は、レジャー用途の拡大と密接に結びついています。

また、ピックアップトラック「フォルテ」をベースとしながらも、前輪独立懸架サスペンションを採用することで乗用車に近い乗り心地を実現しました。オフロード性能と快適性を両立させようとする設計思想がここに表れています。

四輪駆動車のイメージを変えたモデル

パジェロはその後、国内外で高い人気を得ることになります。特に1980年代後半から1990年代にかけては、四輪駆動車をレジャー用途で楽しむ文化が広がり、日本でもRVブームと呼ばれる現象が生まれました。後には、パリ・ダカールラリーでも活躍し、世界的に知られる四輪駆動車へと成長していきます。

この一枚からは、四輪駆動車が仕事のための車から、自由な移動を楽しむための車へと変わり始めた1980年代初頭の空気がよく伝わってきます。