1971年 山一證券 グリーンカルテ|コンピューターによる持株診断の衝撃

1971年 山一證券 広告デザイン「グリーンカルテ」水平線の日の出とタイポグラフィ 社会の肖像

水平線から昇る太陽を背景に、「投資に新しい時代がきた」と大きく掲げられた紙面です。
1971年、山一證券は「グリーンカルテ」という新持株診断サービスを打ち出しました。

日本経済が高度成長を経て近代化を遂げる中、株式投資は「経験と勘」の世界から「科学的分析」へと移行しようとしていました。広告では、PER(株価収益率)や1株当たり純資産といった指標を明示し、コンピューターによる総合評価を100点満点で提示する仕組みを紹介しています。

当時の証券各社は大型汎用コンピューターの導入を進めていました。山一證券のグリーンカルテは、個人が保有する銘柄を自社データと照合し、客観的基準で採点するという試みです。

紙面の要点は明確です。
・コンピューターによる持株診断
・PERや純資産などの数値指標の活用
・100点満点評価による可視化
・銘柄ベストテンの提示

投資判断を「診断」という形で提示する発想は、情報の非対称性を縮小する意図を持っていました。証券会社が知識を独占するのではなく、データを根拠に説明する姿勢を示しています。

1971年時点ではフィンテックという言葉は存在しませんが、データ処理と投資助言の融合という意味では、その遠い祖先といえる取り組みです。投資の大衆化に向けた、証券業界の一つの転換点でした。

なお、山一證券は1997年に自主廃業し、日本の金融史に大きな転機を刻みました。本広告は、その四半世紀前、電算化によって新時代を切り拓こうとした企業の姿を記録しています。

「科学的に」と説いた証券マンたちの熱意は、今日のオンライン証券やアルゴリズム運用へと連なっています。1971年のこの一枚は、投資文化が勘から数値へと移り変わる瞬間を映したビジネス史料です。