1980年 テルモ 血圧計|家庭で測るという習慣の始まり

1980年代 テルモ 電子血圧計 家庭向け広告 美と健康

1980年、医療機器メーカーであるテルモが家庭向けに展開した電子血圧計の紙面です。「風呂好きな父は血圧を心配する母にかまわずナニワ節で長湯だった。」というコピーが目を引きます。健康管理を家族の日常の風景に重ねています。

ビジュアルは、切り絵や刺繍を思わせる温かみのあるイラストです。病院や診療所の無機質な空間ではなく、家庭内の情景として描かれています。医療機器を茶の間に置かれる製品へと位置づける意図が明確です。

当時の電子血圧計は、水銀柱式に代わる精度の確保が課題でした。本機では血圧検出の要となるマイクを2個内蔵し、血管の拍動音(コロトコフ音)を正確に拾う構造が採られています。機械化と精度向上を両立させる設計です。

下部の製品写真を見ると、腕帯(カフ)とゴム管が本体につながる据え置き型であることが分かります。現在主流の全自動式とは異なり、操作と測定が分かれた構造です。自動化が進む前段階の形式といえます。

1980年代に入ると、日本では成人病と呼ばれていた疾患への関心が高まりました。定期的に血圧を測定するという習慣が、医療機関だけでなく家庭にも広がっていきます。本紙面にある「ご家庭での一歩進んだ健康管理」という表現は、その流れを反映しています。

ここで提示されているのは、医療行為ではなく習慣です。風呂上がりに血圧を測るという日常の一場面が描かれています。数値で体調を把握するという考え方が、徐々に家庭に浸透していく過程の一例です。