漆黒の背景に浮かび上がる、鈍い銀光を放つ金属の円筒が並んでいます。モノクロームの画面構成が、プロ用機材としての厳格さと精密さを際立たせていました。紙面の白場を活かしたレイアウトは、当時、オーディオマニアたちが憧れた「録音」という行為の奥深さを象徴しているようです。
「ペア マイク」
1970年、家庭用オープンリールデッキやカセットデッキの普及とともに、一般ユーザーの間でも「生録(なまろく)」が一大ブームとなりました。この広告で紹介されているECM-2019やECM-2021は、ソニーが誇るエレクトレット・コンデンサー技術を投入した、マニア待望のペアマイクでした。ダイナミック型では捉えきれない、瑞々しい肉声や空気の震えをステレオで記録する喜びがありました。技術がまだ「驚き」であった頃、人々は家族の声や街の音を丁寧に拾い集め、磁気テープの中に永遠を閉じ込めようとしていました。

