1964年 シチズン オートデーター パラウォーター|完全防水の自動巻腕時計

1964年のシチズン・オートデーター・パラウォーター広告。完全防水と自動巻きを謳う腕時計のビジュアル。 感性の記憶

静かな背景の中に、二本の腕時計が置かれています。一つは文字盤を正面から、もう一つはブレスレットの構造が見える角度から配置されています。

金属の質感とシンプルなデザインが際立つこの広告は、1964年(昭和39年)にシチズン時計が発表した、オートデーター・パラウォーターの性能を紹介しています。

「完全防水・自動巻・日付つき そしてショックにもビクともしない」

当時としては非常に実用性の高い腕時計を強く印象づけるコピーでした。

腕時計の常識を変えた1960年代

1960年代半ば、日本の時計産業は急速な技術革新の時期にありました。

それまで腕時計は、水や衝撃に弱い精密機械であり、ぶつけたり濡らしたりしないよう慎重に扱うものと考えられていました。シチズンはその常識を変えるべく、耐震性、防水性、実用性を高めた技術を次々と開発していきます。

その成果の一つが、このオートデーター・パラウォーターでした。

外周式自動巻とカレンダー機構

このモデルの特徴の一つが、シチズン独自の外周式自動巻装置です。

腕の動きによってゼンマイを巻き上げる自動巻機構により、毎日リューズを巻く必要がありません。さらに日付表示機能が加えられ、腕時計は単なる時間計測装置から、日常生活に役立つ情報機器へと進化していきました。

自動巻とカレンダーを一体化させた設計は、当時の時計技術の最先端でした。

パラショックとパラウォーター

この時計には、シチズンが開発した

耐震装置 パラショック
防水構造 パラウォーター

が組み合わされています。

パラショックは落下などの衝撃からムーブメントを守る構造で、飛行機からの投下実験でも性能が試験されたとされています。パラウォーターは日常生活での水濡れに耐える防水技術です。泥やほこりの侵入も抑え、時計をより安心して使えるものにしました。

これらの技術によって、腕時計は「壊れやすい精密品」から日常で安心して使える道具へと変わっていきます。

8,500円から始まる実用時計

価格は

19石ステンレスモデル 8,500円
21石モデル 10,000円
27石モデル 15,500円

とされています。

1964年の大卒初任給は約2万円でした。決して安価ではありませんが、最新技術を備えた実用時計として現実的な価格帯でもありました。

日本時計産業の成長

「時計輸出のトップ・シチズン」という言葉が掲げられています。1960年代、日本の時計メーカーは技術力を高めながら世界市場へ進出していきました。防水や耐震といった機能は、単なる付加価値ではなく信頼性を示す重要な要素になっていきます。

この広告は、腕時計が繊細な装飾品から日常生活で使われる強固な精密機械へと変わっていく時代を象徴する一枚でもあります。