1969年 アイワ カーステレオ|カセットテープが変えた車内空間

1969年のアイワ・カセットカーステレオ広告。TP-1015とTP-1036の製品写真とカップルの車内。 暮らしの家電

夜の車内。雨に濡れたフロントガラスの向こうに、ドライバーと助手席の女性の姿が見えます。ダッシュボードの光に照らされた二人の表情は、静かなドライブの時間を感じさせます。

その下に並ぶのは、カセット式カーステレオとスピーカーです。

「カーステレオもカセット時代」

1969年、アイワが発売したカセット式カーステレオを紹介する広告です。カーラジオ中心だった車内の音楽環境が、大きく変わり始めた時代を象徴しています。

カセットテープが変えたドライブ文化

1960年代後半、日本ではモータリゼーションが急速に進んでいました。
車は単なる移動手段から、ドライブそのものを楽しむ空間へと変わっていきます。それまで車内の音楽はラジオ放送を聴くのが一般的でした。しかしコンパクトカセットテープの普及によって、自分の好きな音楽を録音し、車の中で再生できるようになります。

この変化は、家庭用オーディオの世界から自動車というプライベート空間へ、音楽文化が広がっていく瞬間でもありました。

録音機能と小型化の技術

登場するのは、アイワのカセット・カーステレオ(TP-1015、TP-1036)の2機種です。上位モデルの TP-1015 は再生だけでなく録音機能も備えており、マイクが付属していました。車内での音声記録や簡易録音も可能という、多機能な設計が特徴でした。TP-1036 は、従来のカーラジオと同じ位置に収まる超小型設計です。ダッシュボードを大きく加工することなく取り付けられる点が強調されています。操作はワンタッチ式で、走行中でも扱いやすい設計となっていました。

初任給に匹敵するカーオーディオ

価格は、
TP-1015 38,500円
TP-1036 24,500円
とされています。

1969年の大卒初任給は約3万4,000円でした。録音機能付きモデルは初任給を上回る価格であり、カーステレオは当時まだ高級なカーアクセサリーでした。それでも、自分の好きな音楽を車内で自由に楽しめるという魅力は大きく、カーオーディオは新しいドライブ文化の象徴となっていきます。

音楽が持ち込まれた車内空間

雨の夜、車内で音楽を聴くという情景そのものが描かれるとおり、カセットテープの登場によって、音楽は場所を選ばず持ち運べるものになりました。車の中もまた、音楽を楽しむ私的な空間へと変わっていきます。

カセットテープが音楽を持ち運べるものに変えたとき、車の中もまた新しい楽しみの場所になりました。