白い背景の中央に、赤いクーペが配置されています。
車体から伸びる多数の線が、エンジンやミッション、内装などの仕様へとつながっています。
1970年に登場したトヨタ・セリカの販売方式を説明する広告です。
紙面の上部には
「外装4種×エンジン4種×ミッション3種×インテリア9種」
という表記があります。
この広告の主題は「セリカ・フルチョイス・システム」。
購入時に車の仕様を組み合わせて注文できる仕組みでした。当時の国産車はグレードごとに装備が決められていることが一般的でしたが、セリカでは外装、エンジン、ミッション、内装などをユーザー自身が選択できます。広告ではその仕組みを図解のように説明しています。
個人の感性を重視する車の登場
1970年代に入ると、日本のモータリゼーションは新しい段階に入りました。
自家用車の普及が進み、「車を持つこと」から「どのような車を選ぶか」という価値観へと関心が移っていきます。それまでの国産車の主流は、家族で使う実用的なセダンでした。しかし若い世代を中心に、スタイルや走りを重視したクーペへの関心が高まります。
セリカはそうした流れの中で登場したモデルでした。広告でも「SPECIALTY CAR CELICA」と表記され、個人の趣味や感性を反映する新しいタイプの車であることが強調されています。
多彩なエンジンとトランスミッション
この広告では、選択できる仕様が具体的に示されています。
エンジンは4種類。
1400cc(86ps)、1600cc(100ps)、1600ccツインキャブ(105ps)、そしてGT専用の1600cc DOHC(115ps)です。
特にGTモデルに搭載されたDOHCエンジンは、高回転まで伸びる性能を持つスポーツユニットでした。当時の国産車ではまだ珍しい仕様であり、セリカのスポーティな性格を象徴する装備でした。
トランスミッションも複数用意されており、4速MT、5速MT、そして3速の「トヨグライド」オートマチックから選択できます。購入者は走行性能や使い方に応じて仕様を組み合わせることができました。
自分だけの一台をつくる仕組み
フルチョイスシステムでは、外装色や内装色、タイヤ、装備品なども選択可能でした。図解には、外装カラーやインテリアカラーの選択肢も紹介されています。
こうした注文方式は、工場の生産管理にも新しい仕組みを必要としました。購入者の選択に応じて仕様を組み合わせて生産する方式は、当時の国産車としては画期的な試みでした。
図解された多くの選択肢は、従来の固定されたグレード構成とは異なる新しい車の選び方を提示していました。仕様を組み合わせて自分の一台を作るという発想は、個性を重視する当時の若いユーザー層にも強く支持されます。
セリカはその後も改良を重ね、1978年にはデザインと性能を大きく進化させた新世代モデルへと発展します。
→ 1978年 トヨタ セリカ
自動車が単なる移動手段から、個人の好みやライフスタイルを反映する商品へと変わり始めた1970年代初頭の空気がよく伝わってきます。
1970年代の国産スポーツ
- マツダ・サバンナRX-7(1978) ― ロータリーが描いた新しい走り
- トヨタ・セリカ(1978) ― 第二世代へと進化した姿
- 日産プリンス・スカイライン(1966) ― 国産スポーツサルーンの源流

