1970年、大阪万博が「進歩と調和」を掲げた年。
事務機の世界にも、驚くべき「進歩」が訪れていました。
このキャノーラの広告が放つのは、計算結果を単に表示するだけでなく、感熱紙に「記録」する特許プリント方式への圧倒的な自負です。
「ポケットに収まって電池内蔵」という言葉の裏には、重厚長大な機械からの解放という、当時のビジネスマンが抱いた切実な憧れが透けて見えます。
ネーミング募集の賞品が「ハワイ旅行」である点も、海外旅行がまだ高嶺の花だった時代の幸福な空気感を象徴しています。
デジタル化の波の中で消えていった、プリントアウトされる数字の鮮烈な青さ。
当時の実機や資料を紐解くことは、現代のスマートデバイスの原点にある「夢」の感触を、もう一度指先に呼び覚ます作業になるはずです。

